大都市地域における住宅及び住宅地の供給

 一般に大都市法と呼ばれているのは「大都市地域における住宅及び住宅地の供給の促進に関する特別措置法」のことで、昭和50年に制定、施行されました。この法律は、大都市地域における宅地不足の解消のために、未利用の住宅適地の開発を促進することを目的とします。大都市法は、土地基本法の制定を受けて、平成2年6月に 大幅な改正がなされました。
 大都市地域の住宅開発の促進のために必要な協議を行えるよう、宅地開発協議会の設置を定めています。また、土地区画整理促進区域および住宅街区整備促進区域を都市計画で定め、権利者による自主的開発を促進しました。
 そして、土地区画整理促進区域内で行われる特定土地区画整理事業については、次の諸点で一般の土地区画整理法にはない特例が設けられ,農地等を含む地域での事業化を容易にしています。
 施行地区の面積、共同住宅区、集合農地区、義務教育施設用地、公営住宅等の用地。併せて、住宅街区整備事業も都市計画法上創設されました。

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 住宅地の供給増加を図るための障害になっていた、広域体系の不整備、促進地域の都市計画決定要件を見なおすために行われました。もちろん、土地基本法が定めた土地政策の一環としての改正です。それでは改正内容をみてみましょう。
(1)広域計画体系の整備について
 住宅供給の促進のため国土交通大臣が新たに住宅および住宅地の供給に関する基本方針を策定するとともに、関係都道府県はこれに則して「住宅及び住宅地の供給に関する計画」を策定することとしました。また関係都道府県知事は前記の供給計画に従い、住宅市街地の「開発整備方針」を定め,重点的に整備すべき地区を定めることとしました。
(2)要件の緩和について
 住宅地の供給促進を行いやすくするために、促進区域の要件緩和を行いました。第一には、土地区画整理促進区域の指定面積要件を従来の「5ha」から「2ha」に緩和しました。第二は、住宅街区整備促進区域の指定地域要件を従来の「第2種住居専用地域のみ」から「住宅地域を含んでもよい」ことに緩和しました。
1 宅地造成等規制法の目的
 がけくずれというのは自然の山では滅多に起こりません。土を盛ったり削ったりして、自然に手を加えることで起きやすくなります。
 宅地造成等規制法は、宅地造成に伴いがけくずれまたは土砂の流出を生ずるおそれのある市街地または市街地となろうとする土地の区域内での宅地造成の工事を規制します。
2 どうやって規制を行うのか
 宅地造成工事を行えば、がけくずれと土砂の流出が起きる危険性の高い地域を、国土交通大臣か関係都道府県の中出で指定します。これが「宅地造成工事規制区域」です。
 そして、規制区域内で宅地造成工事を行うためには、造成主はその工事着手前に都道府県知事の許可を受けなけれぼならないという 規制があります。
3 宅地造成とは
 宅地とは、農地、採草放牧地、森林、公共施設の用地以外の土地のことをいいます。
 次に造成工事の意味ですが、以下に示すような一定の規模以上の工事のことをいいます。
4 許可の手続について
 許可申請は造成主が行います。国または都道府県、指定都市が造成主の場合は、都道府県知事との協議が成立すれば許可はあったものとみなされます。
5 その他の制度について
 いままで述べた許可制の他に届出制という制度もあります。また、宅地造成工事規制区域内での保全義務も条文で定められていますし、都道府県知事が必要な改善命令を行うことも定められています。
 農地法とはどのような法律なのでしょうか。まず、この法律の目的と手段に分けて考えてみましょう。
 まず、目的ですが、これは食料の確保にあります。なぜな  ら、農地は食料を作り出すもとになるからです。
 そして、手段ですが、この目的を達成するために農地の処分について制限をくわえています。また、食料を確保するためには、農地の賃借人が安心して農業ができるようにしなけれぼならないので、農地の賃借人を保護するための、いくつかの制度が設けられています。
 農地の意味は、登記簿上の地目(田、畑)によるものではなく、現況が耕作の目的に供される土地という観点で判定しますので、登記簿上の地目と一致しないことがあります。すなわち、耕作するつもりになればいつでも簡単に耕作地として使用できるような休耕地等も現況農地になります。
 農地以外に耕作・養畜のための採草放牧地、肥培管理をしている牧草栽培地についても転用の規制があります。
 農地については優良農地を守るため所有権等の権利を移転すること、または農地以外のものに転用するには、原則として都道府県知事等の許可が必要となり、許可の得られない売買等はその効力を生じません。
 ただし、市街化区域の農地の転用のための売買等については許可ではなく、農業委員会への届出があればよいことになります。
 市街化区域内では、農地を転用、権利移転するのに知事の許可はいりませんが、あらかじめ農業委員会に届け出ることが必要です。
 生産緑地法は、市街化区域内農地の緑地機能に着目して、農地等を計画的に保全することで良好な都市環境の形成を図ろうとするものです。
 土地基本法の制定、大都市法の改正をうけて、本法は平成3年に大幅改正がなされました。
 改正の趣旨は、市街化区域内農地を「宅地化すべき農地」と「保全すべき農地」に二分し、前者については積極的に宅地化を促進するとともに、後者については生産緑地地区として指定したうえで、農地利用を保護しようとするものです。平成4年12月生産緑地地区都市計画を決定しました。その結果市街化区域内農地の宅地並み課税は3万haにおよびこの面積は東京都の区部の全民有地に相当します。
 1 生産緑地地区に指定されるための要件
 生産緑地地区に指定されうるためには、現実的に農林漁業の用に供されている土地であって、以下の要件を満たすものであることが必要となります。
(1)環境機能および多目的な公共施設等の予定地としての機能
(2)面積が一団で500平米以上の農地等であること。
(3)農業の継続が可能であること。
 次に、こうした要件を満たしたうえで、生産緑地地区において次に掲げる行為については原則として市町村長の許可を要します。
 建築物その他の工作物の新築、改築または増築、宅地の造成、土石の採取その他の土地の形質の変更
 水面の埋立てまたは干拓
 生産緑地地区に指定されると以下のようになります。
 都市内で農業が継続できます。農地として管理することが義務づけられ、農地以外の利用ができません。生産緑地地区には買取り制度があります。
 生産緑地に指定されてから30年を経過したとき、また農業の主たる従事者が死亡したり、農業に従事することを不可能とさせる。故障を有することとなった場合には、市町村長に対し、生産緑地を時価で買い取るよう申し出る事ができます。
 税制上の優遇措置(固定資産税、相続税など)が受けられます。
 生産緑地地区内の農地を除き、原則として三大都市間の特定市のすべての市街化区域内農地が宅地並み課税となりました。
 ただし、保全する農地として生産緑地地区に指定された区域内の農地は農地課税のままです。
 三大都市間の特定市の市街化区域内においては、相続税または遺贈については、生産緑地地区内の農地または採草放校地を除いて相続税の納税猶予、免除制度は適用されません。ただし、相続税等による取得目において、生産緑地地区内の農地等であれば、相続税の納税猶予、免除制度を適用することとします。
 公有地拡大法の目的は、公有地の拡大の計画的な推進を図り、地域の秩序ある整備と公共の福祉の増進に資することを目的としています。
 では、法はこのような目的に対して、どのような措置を講じているのでしょうか。
 都市の健全な発展と秩序ある整備を促進するため必要な土地の先買いに関する制度の整備、地方公共団体に代って土地の先行取得を行うこと等を目的とする土地開発公社の創設等の措置を講じています。
 公有地拡大法で特に重要な条文として、第4条第1項と第8条があります。
 都市計画施設内等にある土地を譲渡しようとする場合の届出義務
 都市計画区域内の土地の先買い等の規定に基づいて届け出た土地の譲渡の制限
 土地収用法は、公共の利益と私有財産との調整を図って、国土の適正な合理的利用に寄与するための法律です。
 その達成の手段として、日本国憲法第29条第1項に規定された「財産権はこれを侵してはならない」とする条項に対して、所有者の意思にかかわらず、強制的にその土地等を収用または使用するというものです。
 土地収用法第1条において「公共の利益となる事業に必要な土地等の収用又は使用に関し、その要件、手続きおよび効果並びにこれに伴う損失の補償等について規定し、公共の利益の増進と私有財産との調整を図る」ものと規定されています。このため収用事業の適用にあたっては、公共の利益となる事業として、同法第3条各号において限定列挙されていますが、国、地方公共団体等の公共機関に限らず、事業主体が株式会社のような営利法人であっても、鉄道、電力、ガス等の公益的性格の強い事業については、収用または使用ができます。
 これら公共の利益の事業を行う者は、起業者といい、事業のために土地を収用または使用するときは、土地収用法に定められた「事業の認定」を受けておく必要があります。認定先は国土交通大臣または都道府県知事ですが、一定の事業認定申請書を提出して行います。
 なお事業の認定の告示があれぼ、その土地については、何人も都道府県知事の許可を受けなければ、明らかに事業に支障を及ぼすような形質の変更はできません。
 また、土地の形質の変更については、起業者の同意がある場合か、災害の防止その他正当な理由に基づいて必要があると認められる場合でなければ、その許可は与えられません。しかしながら、いったん「事業認定」がなされると、その効果として、収用委員会に裁決申請がなされるばかりでなく、地価の補償,価格の凍結、土地の形質保全、建築物の制限など数多くの法律規制が行われます。このような国民の財産権を制約する内容をもった収用事業に対して、租税特別措置法第33条において課税の特例が規定されています。
 現在の指定容積率をむだなく有効に利用させることをねらいとして、公共施設の整備を誘導しつつ良好な市街地整備による土地の有効利用を促進するため、誘導容積制度が創設されました。これは、公園、道路などの公共施設の整備が十分に行われていない地区において、地区計画で目標とする容積率(目標容積率)と地区の公共施設の現状に見合った容積率の二つの容積率を定めるというものです。そして現状においては引き下げられた暫定容積率を適用して市街地環境を保全しつつ地区計画で地区施設を定め、整備の進み具合により特定行政庁の認定があった場合には目標容積率を適用するというものです。また,良好な都市環境の形成に配慮しながら、地区計画で区域を区分し、地区内の総容積の範囲内で容積の適正な配分を行うこととしています。
 以上のほか、次のような改正が行われています。
 市町村の都市計画に関する基本的な方針の策定の責務の明確化、地区計画制度の拡充、都市計画区域外の区域における建築制限の合理化、木造建築物に係る制限の合理化等
 現在の指定容積率をむだなく有効に利用させることをねらいとして、公共施設の整備を誘導しつつ良好な市街地整備による土地の有効利用を促進するため、誘導容積制度が創設されました。これは、公園、道路などの公共施設の整備が十分に行われていない地区において、地区計画で目標とする容積率(目標容積率)と地区の公共施設の現状に見合った容積率(暫定容積率)の二つの容積率を定めるというものです。そして現状においては引き下げられた暫定容積率を適用して市街地環境を保全しつつ地区計画で地区施設を定め、整備の進み具合により特定行政庁の認定があった場合には目標容積率を適用するというものです。また、良好な都市環境の形成に配慮しながら、地区計画で区域を区分し、地区内の総容積の範囲内で容積の適正な配分を行うこととしています。

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